静寂は突如破られた。
リビングでダラダラと食後のTVを楽しむ僕の耳に、母の叫び声がこだまする。

「くりす!出た!」

 その一言で、僕は母の叫びの意味を理解した。
 奴が現れたのだ!

 僕はスイセイキンチョールとワイパオを手に、階段の方へ向かった。母は2階から1階へ降りる階段の傍らで、1階の方を指差し、たたずんでいた。

 僕が下り階段の方に目を移すと・・・奴がいた!!

「ファイエル!」 

 僕は心の中でそう叫び、狙いを定めてワイパオを発射!!(初弾・ハズレ)

 さすがにゴキは素早い。

「ファイエル!ファイエル!!ファイエル〜!!!(ハズレ×3)

 初弾以後、すべての砲撃(?)が外れる。

「ゴキブリ風情が、よくやる!」

 やはり心の中でそう叫びつつ、1階の方へ逃げるゴキをあわてて追いかける。

(ここはスイセイキンチョールで足止めをして、ワイパオでとどめを刺すべきか)

 僕はスイセイキンチョールを右手に持ち換え、照準を合わせて噴射した。

「え〜い、落ちろ!」(シューーーーッ!)

 円錐状に拡散した砲火はゴキを包みこむ。
5秒ほどの噴射で、ゴキの足が鈍くなった。

 その時!
ふと階段の下を覗き込むと、レイルズがいた!
決戦ネコ型汎用ペット・レイルズ・・・我が軍の強力な愛玩ペットである。

 心強い味方が現れた!
と、思いきや、ゴキに気がついたレイルズは硬直し、続いて逃げだした・・・・。役立たずめ(涙)

 僕はペットに見捨てられるも、スイセイキンチョールでひるんだゴキに向かってワイパオを発射。

(ジュゥゥゥゥゥ)

 なんだかちょっぴりジューシーな音と共に、直線的に伸びる白い砲火は、さながらパーティで使われる「ヒモ(紐)スプレー」のようだ。
たちまち白い泡がゴキを包み、黒いゴキを白い繭玉に変えてしまった。

「任務完了」

 僕は冷徹につぶやいて、今までの戦場を見上げた。
そして驚愕した。
 階段のいたるところに、白い繭玉の出来損ないがへばりついているのだ。それはまるで純白の蜘蛛の巣のようだ。

 激戦の後、僕は自分の散らかした痕を掃除した。
繭玉に包まれたゴキ・・・できれば触りたくなかった(涙)
いかに繭玉に包まれているとはいえ、もし繭玉の底の方からゴキがワシャワシャと出てきたらと思うと・・・卒倒しそうになる。

 そして撃ち散らかした弾痕たち・・・。調子に乗って撃つんじゃなかった(涙)

 結局、ゴキ玉をティッシュでくるむのは心もとないので、牛乳パックに厳重に封印し、処分した。

 おそらく今後もこうした戦いは続くのであろう。
今後も、我が軍の自衛力は随時強化する必要があるといえる。

 

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索