前回からの続きです。内容を把握していない方は「前の日記」を読んでからの方がいいと思います。

 練習で右足首を捻挫してから数日後、僕は監督から言い渡されました。

監督「くりす。明日の午前中、足首の治療へ行け。トウジョウも足の治療に行くから、一緒に行って来い。」

 トウジョウとは、僕のチームのエースアタッカーです。彼は太ももの筋肉を傷めていて、やはり大会に備えて治療が必要だったのです。

監督「明日、トウジョウのお母さんが、病院まで車で送ってくれることになっているから、そのつもりでな。お前の担任には遅刻の事情を説明しておくから。」

くりす「はい。分かりました。」

 こうして、僕とトウジョウ君はS県K市の病院へ行くことになりました。監督の話によると、僕達が行く病院は、県内有数のラグビー強豪校、「K工業高校ラグビー部」御用達の治療院だそうで、病院というより「接骨院」だそうです。
 
 翌日、朝8時に学校を出発した僕たちは、トウジョウ君のお母さんの運転する車で、一路K市へ。K市はS県でも北部にある街で結構遠いのです。その日は天気も良く、治療に行くとは言え、ちょっとしたドライブ気分でした。また、学校公認で遅刻が出来るというのも、なんとも言えない気分でした。

 午前十時頃、接骨院に到着しました。期待はしていなかったけど、この病院はかなり古びた一軒家で、僕たちの不安感を高めるのに一役買っているようです。
 中に入り、受付を済ませて待合室に入りました。待合室はいかにも接骨院らしく、壁に「骨の全身図」や「筋肉の全身図」が貼ってあり、なんというか怪しい雰囲気です。

 治療室には、先にトウジョウ君が入りました。そして、しばらくすると、中から「イタイ」という声が何度も聞こえてきました。隣にいるトウジョウ君のお母さんを見ると、息子の声を聞いて笑っています。しかし、僕はだんだんと不安になってきました。

 数分後。トウジョウ君が出てきました。彼は、何か言いたそうな目で僕を見ていましたが、すぐに治療室から僕の名が呼ばれ、僕は治療室へと入っていきました。

 治療室の中に入ると、白衣のようなものをまとったおじさんがいました。

くりす「よろしくお願いします。」

センセイ「どうしたの?」

くりす「実は・・・。」

 僕は捻挫した経緯を説明し、大会に備えて早く治したい事を伝えました。

センセイ「じゃ、そこにうつ伏せになって。」

 僕は診察台にうつ伏せに寝ました。すると、センセイは何を思ったのか、捻挫で痛む足首をつかんで・・・。

(ブンブンブンブン)

くりす「アッ、ワァッ!!い、痛いって!イタイっすよ!!」

 なんと!センセイは僕の足首を前後左右に激しく振りはじめたのです。僕はあまりの痛みで頭が白濁してきました。

これが治療か?
トウジョウ君もやられたのか?
太ももを持って振り回したらプロレスじゃないか。
このヒト平気か?
でも名医だそうじゃないか。
しかし、接骨院には医師はいないぞ?
これで治るのか?

 センセイは僕の足首を振るだけでは飽き足らず(?)、くるくると回したり、伸ばしたり、縮めたり・・・。
 その間、僕は悲鳴を上げっぱなしでした。
そりゃそうですよね。まだ捻挫して数日しか経っていないんですよ?普通にしていても痛みがあるっていうのに、まさかこんな治療を施されるとは・・・。

 数刻後、悲鳴の上げすぎで喉がカラカラになった僕は、目に涙を浮かべつつ、待合室に帰っていきました。待合室では、トウジョウ君が笑っています。

トウジョウ「悲鳴、凄かったね・・・。」

 こうして、無事(?)に治療を終えた僕達は、学校へと帰って行きました。
 
 しかし、結局、大会までに足首の痛みはとれず、大会期間中、僕は「痛み止め」&「胃薬」を飲んで試合に臨みました。なんでも「痛み止め」が強力なために、胃薬も服用しなければならないとのことです。

 今となっては笑い話ですが、今でも、寒い日には右足首が痛むことがあります。結局、あの時の捻挫は完全には治癒しなかったようですね。
 
 



 

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